学び続ける姿勢が、次世代へのバトンに
年齢や肩書の変化に直面したとき、私たちはどのように現場で輝き続けられるのでしょうか?現場で学び続ける親の姿勢は、子供たちにとっても将来の人生の教科書となります。
年齢や肩書によって現場での立ち位置が変化するのは避けられない現実です。ただし、これは必ずしもマイナスではありません。むしろ、この変化を受け入れ、自分の強みを活かした新しい役割を見出すことで、組織により大きな価値を提供できる可能性が広がります。またその新たなステージで学び、考え、努力し続ける姿勢こそ、子供たちに「どんな状況でも学び続けることの重要性」を伝える絶好のチャンスです。そして、その姿勢はいつか自分にも、新たなキャリアや感謝という形で返ってきます。
「気遣われる存在」になる瞬間:40-50代が直面する現場での葛藤
私たち会社員は、キャリアを重ねるごとに興味深いジレンマに直面します。特に50歳前後になると、どんなに現場思考が強くても、若手やミドル層との関係性に微妙な変化が生じて、自分の役割や存在意義が少しずつ変わっていく感覚を覚える人は少なくありません。例えば、些細な指示を出す際でも、相手が必要以上に気を遣ってしまい、本来あるべき率直なコミュニケーションが難しくなることがあります。どれだけ現場で頑張りたい情熱があっても、立場があるだけで周囲に遠慮させてしまうことが多いのです。
誤解された熱意 “使えないおじさん”の本当の姿
よく聞く「使えないおじさん問題」の根底には、こうした年齢や肩書による役割の変化があります。マネジメント職に就ける人数は限られているため、現場に戻る場合も出てきます。ここで重要なのは、マネジメント職に就けないことが必ずしも失敗を意味するわけではないということです。
しかし、現場に戻れば若い世代に気を遣わせてしまい、結果的に自分の存在が疎まれ、若手社員からすれば「○○さんが現場に来られても、正直やりづらいです」という本音があるのは否めません。この状況では無理に現場に入り込もうとすると、かえって周囲の負担になってしまう可能性があります。
これは決して本人の能力不足だけが原因ではなく、環境や世代間のコミュニケーションの取りづらさが影響しています。それでも、現場での役割や意見の出し方を工夫することで、まだまだ新しい価値を生み出すことが可能だと考えます。
経験を武器に – ベテランだからこそできる新しい貢献
ではどうすればよいのでしょうか。私の経験から言えることは、年齢や肩書にとらわれすぎないことです。確かに、直接的な現場作業は減るかもしれません。しかし、これまでの経験を活かして、若手への知恵や知見の継承や、複数のプロジェクトを横断的に見守る立場で貢献するなど、新しい形での価値提供が可能です。
ここで大事なのは、自分自身がどんな困難な状況でも学び続ける姿を見せることです。立場に関係なく、現場の課題や人との関係性から学ぶ姿勢を持つ大人の背中を見て、若手は成長するものです。たとえば、「自分の考えを押し付けるのではなく、若い世代の意見を積極的に取り入れる」「キャリアの違いを気にせず、現場の現実に向き合う」など、小さな行動が若手たちにとって大きな教訓になります。
知恵の継承者として – 次世代を育てる喜びを見出す
特に大切なのは、自分の経験を次世代に伝えていく姿勢です。若手社員が陥りやすい失敗を防いだり、より効率的な仕事の進め方をアドバイスしたりすることで、組織全体の生産性向上に貢献できます。これは、現場で直接作業することとは違った形での、重要な価値創造と言えるでしょう。
また、現場での学びは自分のキャリアアップにもつながります。年齢や肩書に縛られることなく、常に新しいスキルや知識を吸収しようとする姿勢は、周囲からの評価にも直結します。たとえば、「年齢が上がっても新しい技術に挑戦する」「現場で若い世代をサポートしながら、同時に学ぶ」という姿勢を続ければ、それは自分の価値としていつか認められるはずです。
学び続ける親の背中が最高の教科書に
年齢を重ねることで役割が変化するのは自然なことです。大切なのは、その変化を前向きに捉え、自分にしかできない貢献の形を見つけることです。私たちの経験は、必ず誰かの役に立ちます。それを信じて、日々の業務に向き合い続けることが、結果として組織と自分自身の成長につながるのです。
会社員生活の中で感じるこうした変化は、実は人生における大切な学びでもあります。子供たちにとっても、親がどのように生き、どのように働いているかの姿を通じて「変化に適応すること」「新しい価値を見出すこと」の大切さを学ぶ機会となるはずです。仕事でどんなに年齢や肩書に悩むことがあっても、その中で学び、努力する姿勢を見せることが、子供たちにとってかけがえのない学びとなります。それは子供たちに日々の仕事のことや、そこでの知り得たことについて話すだけでも、“学び続けること”の大切さを伝えられるはずです。
親として、そして会社員として、「学び続けること」の重要性を体現し続けましょう。それがきっと、未来の世代の人生を豊かにする教科書になるはずです。
また会いましょう。