「今どき紅白?」と言われても
気がつけば、私の年末の過ごし方は子供の頃からほとんど変わっていません。12月30日には「日本レコード大賞」、大晦日には「紅白歌合戦」。これが我が家の恒例行事となっています。高校生や大学生の頃は、友達と出掛けたり、他の番組を観たりしていた時期もありましたが、結局「レコ大」と「紅白」を一瞬でも観ない年はほとんどありませんでした。そして今、大人になった私はというと、家族と一緒にチャンネルを変えることなくこれらの番組を観るのがすっかり日常になっています。平成生まれの令和育ちの子供たちも自然とその流れに馴染んでいて、新聞に載った紅白のタイムテーブルを切り取って壁に貼り、「今年のレコ大は誰が受賞する?」なんて予想しながら楽しみにしています。この風景、まるで昭和の家庭のようだと思いませんか?
SNSのバズワードより家族の「えっ?」が面白い
実は、私がこの習慣を無理に押し付けたわけではありません。ただ毎年、年末になると自然にテレビをつけていただけです。それが今では、他の番組にチャンネルを変えようとすると「非国民扱い」される始末です。「レコードって何?」と子供たちに聞かれたり、「紅白っていつか男女で分けなくなるの?」なんて会話が出てきたり。歌そのもの以外の話題で盛り上がることも多々あります。こうした何気ない会話が家族の絆を強めているのだと、ふと思うと同時にそういった子どもたちの素朴な疑問から、予想外の会話が広がる、これこそが、私たちビジネスパーソンが日々実践している「何気ない会話から信頼関係を築く」というスキルの原点かもしれません。親として「レコードの歴史」や「紅白の由来」について適当に語るのも楽しいですが、それ以上に、「うーん、確かに謎だよな」と一緒に考える時間が面白いし、大人側も学びになるのです。
「効率化」を忘れる贅沢な「居心地のよさ」
最近では、これらの番組の視聴率やコンテンツのクオリティが話題に上ることも多いですよね。「どうせ台本通りなんでしょ?」とか「もう時代遅れなんじゃない?」なんて批判も耳にします。年末特番のクオリティについては、正直なところ賛否両論ありますよね。「昔の方がよかった」とか、「もう少し新しい工夫がほしい」なんて声もわかります。でも、それって本当にそんなに重要でしょうか?私はこう思うのです。そんなことはどうでもいい、と。司会者のノリや、会場の雰囲気に身を委ねてみればいい。画面の向こうの楽しそうな笑顔にこちらもつられてしまう。ドミノ倒しやけん玉のコーナーで大人も子供も目を輝かせる。それだけで十分、年末の「らしさ」を味わえるのではないでしょうか。少しも斜に構えず、ただ「楽しそう!」と思うだけで、年末の時間がぐっと楽しくなるはずです。家族みんなで「なんじゃこりゃ?」とか「これ、面白い!」と感じながら、あーだこーだ言うのが年末の醍醐味なのです。「テレビの前でボケーッと過ごす時間」は、実は最高の贅沢なのです。それを笑い合ったり、ツッコミを入れたり、ただただ一緒に見るだけで生まれる家族の一体感。そこにコンテンツの出来不出来なんて関係ありません。普段は「時短」「効率化」を追求する私。でも年末だけは、4時間超の生放送を「ながら見」もせずにボーッと見る。無駄な時間の使い方?いやいや、これぞ年末ならではの贅沢かも知れません。
年末は「特別な普通」を楽しむ日
「1年の振り返りをしなきゃ」「新年の抱負を立てなきゃ」なんて気負わず、ただ今年最後の日を、家族や大切な人たちと一緒にゆっくり過ごせばいい。それがレコ大や紅白といった番組でも、全然問題ないじゃないですか。むしろ、そうした習慣の中で、自然と生まれる会話や笑顔が、子供たちにとっての「特別な普通」になっていくのかもしれません。そう考えると、学校で教わること以上に大切な「家族の時間」や「何気ない日常」が、子供たちの心に残るのではないでしょうか。365日、仕事に追われたり、学校のスケジュールに縛られたりする中で、何も予定を立てず、ただテレビを観るだけの時間は、現代ではかなり貴重です。予定もミッションもない空白の時間が、家族を自由にさせてくれる。そしてその時間の中で、自然に生まれる会話や笑い声こそが、最高の「特別な思い出」になるのです。
さよなら2024年、こんにちは新しい伝統
結局、年末年始は肩肘張らずに、自分らしく過ごすのが一番です。どんなコンテンツでも、あるいは何もせずボーっとするのもアリ。それを見て何かを感じたり、誰かと話したりすることで、年の終わりが充実したものになる。366日目のこの日。スマホを置いて、テレビの前に集まる我が家。「令和の昭和家族」なんて笑われそうだけど、これはこれで新しい伝統の始まりなのかもしれない。だって子どもたちが選んだんだもの。何かを考えたり整理したりしなくても、ただ目の前の瞬間を楽しむだけで、年末は十分に価値ある時間になります。「まぁいいか」と笑いながら、何の生産性もないように見えるけれど、実は家族との絆を深める重要なひとときを作っているのです。令和の時代に生きる子供たちが、そんな「まぁ、いいか」という感覚を持てる年末を過ごせたら、それが何よりの幸せ。そんな風に思った2024年のうるう年の366日目、皆さんも良いお年をお迎えください。
ではまた会いましょう。