令和時代を生き抜く「昭和型バランス力」とは

「仕事とプライベートは分けるべき」とよく言われる。だが、実際にそれができる人なんているだろうか?例えば、仕事中に子どもが熱を出したと連絡が来たらどうする?まったく気にせず仕事を続けられる人なんて、ほとんどいないはずだ。逆に、家庭でいいことがあったら、それが仕事のモチベーションに繋がることもある。つまり、仕事とプライベートは完全に切り離せるものではなく、お互いに影響を及ぼし合うものだ。それならば、公私を無理に分けようとするよりも、上手に付き合いながら働くほうが、ストレスも少なく充実感も増す。特に、40代・50代の昭和世代の会社員にとっては、これからの働き方を考える上で重要なポイントになるだろう。公私を完全に分けようとするのではなく、むしろ両者が影響し合うことを前提に、チーム全体で支え合える”大人の職場”を作ることこそ、昭和世代の管理職に求められる新しい役割ではないでしょうか。

なぜ今、昭和型の「切り替え力」が注目されているのか

「仕事は仕事、家庭は家庭」と線引きしたい気持ちは分かる。だが、現実にはそんなにシンプルに割り切れるものではない。たとえば、仕事中に親の介護のことで頭がいっぱいになる。家庭でのストレスを抱えたまま職場に行く。仕事の成果が良かった日は、家でも上機嫌で過ごせる。こんな経験、誰しもあるはずだ。つまり、仕事もプライベートも、どちらもお互いの影響を受けながら進んでいく。ちなみに最近の若手社員は『プライベートと仕事はきっちり分けたいです』と言いがちですが、それを聞いて頭を抱えている管理職の方も多いのではないでしょうか。確かに、理想的な働き方を追求することは大切です。でも、30年以上働いてきた私たちが経験してきた現場は、そんなにクリアカットな世界ではありませんでした。だからこそ、状況に応じて「仕事モード」と「プライベートモード」を柔軟に行き来することを学べたのです。

「完全分離」より「上手な切り替え」が大切なコツ

ここで勘違いしてほしくないのが、「公私混同」と「公私のバランス」の違いだ。「公私混同」は、仕事に家庭の事情を持ち込みすぎたり、逆にプライベートで仕事の話ばかりするようなこと。一方、「公私のバランス」は、仕事とプライベートを適度に調整しながら、どちらも充実させること。例えば、仕事中にどうしても家庭の用事を優先しなければならないときは、上司や同僚に一言伝えておく。逆に、家庭にいても仕事の緊急対応が必要なときは、家族に理解を求める。こうしたバランスを取ることで、公私がぶつかるストレスを減らし、両方をうまく回していくことができる。昭和世代の私たちには、その背景にある家庭の事情や個人的な問題を察するセンスが備わっているんです。これぞまさに、長年の経験を積んだ管理職にぴったりの武器になるのです。

プロの技!瞬間切り替えで信頼度アップ

40代・50代ともなれば、職場ではそれなりのポジションについていることが多い。そんな立場だからこそ、公私のバランスを意識しながら、周囲に対しても寛容な姿勢を持つことが大事だ。たとえば、部下や同僚が仕事に集中できていないとき、頭ごなしに「ちゃんとやれ!」と叱るのではなく、「何かあったのか?」と一歩踏み込んでみる。その一言があるだけで、職場の雰囲気はぐっと良くなる。また、部下が家庭の事情で休むことになったときに「お互い様だから気にするな」と言えるかどうか。こうした「大人の余裕」があると、周囲の信頼も自然と集まる。

昭和世代が得意な「グラデーション型マネジメント」

30年以上働いてきた私たちには、若手には真似できない技がある。仕事中に学校からLINEが来ても、さりげなく対応しながら会議を進める。家庭の心配事があっても、周りに迷惑をかけないように工夫する。この”職人技”こそ、長年の経験から培った昭和世代ならではの強みだ。完璧な公私の分離を目指す若手たちに、私たちの経験を伝える役割が今、求められている。これからの時代、仕事とプライベートを完全に分けることを美徳とする考え方は、時代遅れになりつつある。むしろ、公私を調整しながら、柔軟に働ける人が求められる時代だ。リモートワークが普及したことで、仕事とプライベートの境界がますます曖昧になってきている。その中で「仕事とプライベートをしっかり分けなければ!」と無理をするより、状況に応じて優先順位を変えられる柔軟さのほうが大切だ。誰かが家庭の事情で苦しんでいるときはさりげなくフォローし、逆に誰かが私生活で良いことがあったら、その喜びをチーム全体の活力に変える。そんな”昭和流”のマネジメントこそ、これからの職場に必要とされているのではないだろうか。

令和時代の必須スキル:柔軟な切り替え力の磨き方

仕事とプライベートは完全に分けられない。だからこそ、公私のバランスを取りながら生きるのが大事。「大人の余裕」を持つことで、職場の雰囲気も良くなる。これからの時代は「公私を調整できる人」が生き残る。昭和世代の会社員にとって、これまでの「公私を分けるべき」という考え方を見直すことは、今後の働き方を考える上で大きなヒントになる。公私を分けることにこだわるのではなく、「うまく付き合う」という考え方を持つことで、もっとラクに、もっと充実した会社員人生を送ることができるはずだ。私たち昭和世代の管理職には、まだまだやれることがたくさんあります。人間臭い柔軟さを持って部下と接する。その姿勢こそが、世代を超えた信頼関係を築く基礎となるはずです。

ではまた会いましょう!