営業スタイルの二つの選択肢
営業には、派手な成功を狙うアグレッシブなスタイルと、地味ながらも着実に努力を積み重ねるスタイルがあります。私は後者、いわゆる「コツコツ型」の営業スタイルを信条としています。正直に言えば、このスタイルを好んで選んだわけではありません。ただ、自分の性格や能力に合っていること、そして何より結果的に最も確実に仕事を増やせる近道であることを実感しているからです。
アグレッシブなスタイルへの憧れと限界
もちろん、斬新なアイデアを次々に打ち出し、短期間で目覚ましい成果を上げるアグレッシブなスタイルへの憧れはあります。そのような働き方をしている人を見ると、「自分にもあのスキルや才能があれば…」と羨ましく思うこともしばしばです。しかし、それには特別な能力や限られたチャンスが必要です。そして、毎回そのスタイルを再現するのは非常に難しく、どこかで限界が訪れる可能性が高いとも感じています。
地道なスタイルの安定した強み
一方、コツコツと地道に積み重ねるスタイルは、特別な才能がなくても誰にでも実践できる方法です。目立ちはしませんが、安定した成果を中長期的に生み出すための最善の戦略だと考えています。派手さはありませんが、だからこそ多くの人にとって再現性があり、結果を出しやすいのです。
野球に例えた営業の成功
たとえるなら、野球選手が毎回内野安打でも出塁し続ける姿に似ています。時には二塁打を打つこともあれば、数年に一度はホームランを放つこともある。しかし、何より重要なのは、安打を確実に打ち続けることです。派手なホームランばかりを狙う打者は、一発の成功に注目されるかもしれませんが、打率を維持するのは難しい。対して、毎回着実に塁に出る選手こそ、チームにとって最も貢献度の高い存在です。この「内野安打でも積み重ね」が、営業においても成功のカギを握ると感じています。
普通の人でもできる成果の積み上げ
もちろん、会社が目先の数字を求めるのは理解できます。短期的な目標達成はビジネスにおいて重要な要素です。しかし、営業チームのメンバーが全員スペシャリストであるわけではありません。むしろ、多くの人は平均的なスキルセットを持つ普通の人々です。その中で、大きな成果を生み出すには、一人ひとりが地道な努力を積み重ねることが重要になります。コツコツと積み上げるスタイルこそが、組織全体としての成長を促進し、大きな目標達成につながるのです。
営業以外にも通じる普遍的な法則
この考え方は、営業に限りません。たとえば、子どもたちの勉強にも同じことが言えます。一夜漬けで劇的に成績を伸ばすことは不可能に近いですが、毎日少しずつ努力を積み重ねることで、やがて大きな成果を得ることができます。しかし、この過程は決して簡単ではありません。地味で辛い作業の連続であり、途中で挫折したくなる気持ちに駆られることもあるでしょう。それでも諦めずに続けることで、確実に目標へと近づくのです。
振り返ることで気づく地道な努力の価値
また、大人になって振り返ると、「あのとき地道に頑張っていてよかった」と思える瞬間がたくさんあります。たとえば、資格の勉強やスキルの習得など、当時は退屈に感じた努力が、後々のキャリアや人生において大きな意味を持つことに気づくのです。そのとき初めて、日々のコツコツした積み重ねがどれほど自分を成長させたかを実感します。たとえ最初に掲げた目標に到達していなくても、それまでの努力は確実に自分の力となり、未来を切り開く基盤を築いているのです。
地道な努力を続ける秘訣:振り返りが生む原動力
では、どうすればこの「地道な努力」を続けることができるのでしょうか?真面目に言うと、自分の目標を細かく分解し、一歩ずつ進めること。そして、小さな成功を積み重ねることでモチベーションを維持すること、になるのですが、人はそんな簡単にその積み重ねを日々意識することは出来ません。「今日これだけ進めた」「昨日より少し前進した」という実感は作業ベースでは可能ですが、それが自分の成長に繋がっていることとは結び付けづらいのが正直なところだと思います。なので、その時その時の積み重ねは意識せず、過去を振り返ってみることをオススメします。誰でも必ずその昔の積み重ねが今に繋がっていることに気付ける経験があるはずで、それが現在の自分を支える大きな原動力になるでしょう。
自分の歴史が教える成功への軌跡
結局のところ、地道な努力こそが、私たちの人生や仕事における最大の武器です。派手な成果を狙うのではなく、小さな成果を積み上げる。その先に見える成功こそが、本当に価値のあるものだと私は信じています。そしてその価値は今、その瞬間は見えづらいので、もし今の自分に迷いや不安定さを感じた際には自分の歴史を振り返り、現在の自分に繋いでみると積み重ねの力を感じることができると思っています。
ではまた会いましょう。